そして、コンセプトを考えるにあたって大切なことは、他のお店にはない(であろう)「何か」を盛り込むことです。「何か」とは「お店ならではの売り」のことです。
例えば「餃子専門店」の場合なら、具に入れるニンニクの代わりに様々なハーブを使った数種類の「ハーブ餃子」を作りそれをメイン・メニューにする、といったようなことです。
この「売り」は、そもそも出店を決めた時に「こんなお店にしたい!」と思った段階からすでにあれば良いのですが、そうでない場合はじっくりと考えて決める必要があります。
もし先に「商圏」の調査が済んでいて、ある程度「ターゲット」も絞り込めている状態ならば、そこから「売り」を考えていくという方法があります。
「商圏」の回の時に、「過度に競合店を意識する必要はない」と言いましたが、競合店には「ない」ものを自店の「売り」のヒントとするのは、ひとつの手です。
これも「餃子専門店」を例にとりますが、同じ商圏内の競合店が「お肉たっぷりのガッツリ系餃子」を「売り」にしているのでしたら、こちらは先にあげたような7種類の「ハーブ餃子」や食べやすい「ひと口餃子」などを「売り」にするということです。
ただ、競合店に「ない」ものを自店の「売り」にすれば良いかと言えば、コトはそれほど単純ではありません。競合店にない「ハーブ餃子」や「ひと口餃子」を必要とするターゲットが商圏内にいるのかどうなのかを見極める必要があります。要はニーズがあるのかどうなのか、ということです。
「この商品(メニュー)なら、絶対に売れるはずだ!」と自信だけが先走ってしまい、商圏やターゲットを考えに入れないで店舗展開をした結果、思ったような売上に結びつかないという例は、皆さんもご存じの通り決して少なくはないのです。
「そんなこと言われても、もうコンセプトも決めて、お店を出しちゃったよ」という方もいるかもしれません。これまでの話の流れからは「もう手遅れ?」と思われそうですが、そんなことはありません。ターゲットがいなければ、「いるところ」から連れてこれば良いだけですし、「ニーズがない」のでしたら、ニーズを創り出せば良いのです。
その方法とは、例のマーケティングの[4P]へと取り組んでいく中に散りばめられているのですが、ここでは「商品」に関連する方法に絞って探っていきましょう。