- October 17, 2017
- Store’s StoryTalk
- 飲食店
BAR & SIDRERIA
エクリプス ファースト (Eclipse first)
オーナー
藤井達郎さん
JR神田駅前の喧騒から静かな路地へと一歩足を踏み入れたところにあるオーセンティックなBAR。天井までの棚にびっしりと並べられたウイスキーの品揃えと、何よりもオーナーこだわりのシードルが充実しているお店は、木のぬくもりが感じられる落ち着いた空間となっている。物件探しから、地元への材料調達の旅、そして納得の行くお店づくりのために重ねた時間と想いについて、オーナーの藤井さんにお話を伺った。
■最初の出会いについて
最初の打ち合わせで「ここにお願いしよう」と自分の中では即決しました・・・
藤井さんとお会いしたのは、たしか弊社の前の事務所の近くだったと記憶しています。
相澤
藤井
そうですね。LEAPさんのことはインターネットで知ったのですが、一緒に見てもらいたい物件があって連絡したら、事務所がたまたま家の近所だったので、近くのファミレスでお会いしたのが最初でした。
飯田橋に出店を考えている物件がある、ということでしたね。インターネットで弊社を選んでいただいたのは、どんな理由からだったのですか?
相澤
藤井
一番の理由は、内容がわかりやすいということでしたね。それで、まずは連絡してみようかと。
それで私と岩崎(会長)を含めて3人でお会いしたのですが、その時の我々の印象はどうでしたか?
相澤
藤井
何よりも“普通な感じ”が印象に残っています。スーツを着た、営業マンっぽい人が来るのかと思ったら、普通の人が来た。(笑) でも、話を聞いているうちに、とても頼もしさを感じるようになったのです。実は、頼もしさを感じその時点で「ここにお願いしよう」と自分の心の中では即決していました。自分の店を出すということは一生の決断なわけですから、最初は相見積りを取ろうと考えていたのですが…
それで、一緒に物件を見に行って…
相澤
藤井
そうですね。元が地下駐車場だった場所なので、飲食店として使えるかどうかを見てもらいたかったのです。電気やガスがなかったのですが、こちらで引けばなんとかなるということなど、色々な交渉をして「これならいけそう」というところまで行ったのですが、結局は大家さんが首を縦に振らなかった。LEAPさんのところの会計士さんにお願いして、融資なども目途がついていたのですが。
結局、大家さんが最初から飲食店として貸し出すつもりはなかったということが、最後にわかりましたね。
相澤
■施工段階での進捗状況について
目線にこだわったカウンターづくり・・・
藤井
工事に入ってからは、自分にはわからない部分もあったので、お任せするしかないという感じでした。
【藤井】
工事に入ってからは、自分にはわからない部分もあったので、お任せするしかないという感じでした。
いろいろありましたが、まずはこのカウンターですよね。板がとにかく重いので、中に入れるのも大変でした。
相澤
藤井
カウンターの高さも板の厚さも考えて、おかげさまで気持ちの良い高さになりました。イスもオーダーでしたね。
高さについては、結構細かく追及しましたね。カウンター内の床の高さも計算して、目線なども良い位置に収まりました。イスも、藤井さんにパーツを選んでもらって発注したものです。
相澤
藤井
御神木を加工してできた端材も他で使うようにしたり、棚の作りや照明など、色々わがままを聞いていただきました。
コンベクション・オーブンが納期遅れで入らなくなってしまい、一部を作り直したこともありました。
相澤
藤井
オープン前はかなりバタバタしましたけど、大変だったという感じはなかったですね。むしろ楽しかったです。私は何もしなかったのですが。(笑)
■この場所に出店を決めたワケ
最初の物件がダメになって実際に歩いて見つけた物件・・・
藤井
LEAPさんには、半年もの間タダ働きしていただいたという形になってしまいました。でも、そのすぐ後に、たまたまこの場所が見つかって本当に良かったです。
歩いていて偶然見つけたということでしたね。
相澤
藤井
もともと神楽坂で働いていた関係で近くの飯田橋あたりで店を探したのですが、他に良い物件がなかなか見つからず、もう少し広げてみようと思った矢先のことでした。前の物件がダメになって、数週間後くらいのことだったですね。
ここは駅から近いのに静かな場所で、夜にはそれなりの人通りもある。不動産屋さんに出ない物件もあるので、やはり歩いてみることは大事ですね。
相澤
藤井
さっそく連絡をしてみたら、ガスが使えないということもあって、最初は飲食店はダメということだったのですが…
でも、オール電化で対応するということでOKをもらいました。…でもその後は、とんとん拍子で進みましたね。
相澤
藤井
良かったです。それで、さっそく相澤さんに来てもらって採寸したりしましたが、広さもちょうど良い感じでした。
二人で店舗を見て、話し合いながら進めていったのも良かったですね。
相澤
藤井
契約したのが4月21日で、その後オープンまで約1ヶ月。6月にオープンしたのですが、保健所の関係などもあって結構ギリギリでしたね。
最後の最後は、時間との戦いで現場監督と二人で河童橋に鍋を買い出しに行かせられたりしましたが…(笑)
相澤
藤井
でも、楽しかったですね。
■コンセプトを実現した御神木
地元の人の繋がりが生んだカウンター
このお店の内装の特徴は、なんといってもこのカウンターですね。
相澤
藤井
群馬の実家で近くにたまたま倒れてしまった御神木があって、地元の土建会社の社長が保管しているということを知って、相澤さんたちと一緒に倉庫に見に行ったのがキッカケでしたね。
できれば藤井さんの地元、群馬の木を使いたい、カウンターもできれば一枚板にしたいという想いもありましたしね。
相澤
藤井
そうです。それで地元で木を探していると言ったら、たまたま御神木の話が出て。大人4人でようやく一周するくらいの太さがあったのですが、台風の時に雷に打たれて倒れてしまった木が保管されていると。
欅(けやき)という木はソリが激しいため、10年くらい乾燥させないと使えないのですが、ちょうどそのくらい経っていましたね。
相澤
藤井
倉庫には10枚くらいあって、好きなのを選んでいいと言われて…本当に偶然でしたね。
普通は手に入らない木ですからね。本当にスゴイことです。この厚さの1枚板だと、金額もかなりしますから。
相澤
藤井
それでこの木を使って、重厚感はあるけれど明るい感じの店にしたいと。
スコットランドに行かれた時に撮っていたお店の写真なんかを見せてもらって、イメージを固めていきました。
相澤
藤井
先輩がやっているバーのホームページなんかも見てもらって。でも、そんな風に漠然としか伝えていなかったのに、思い通りのお店になったと思います。自分の中には明確なビジョンがあったけれど、ある日「そういえばこれってちゃんと伝えていないな」と気づいたのですが…あまりズレを感じたことはなかったですね。
こちらから何度かイメージを出して、二人で話し合いながら決めていったので、イメージの共有が上手くできたのだと思います。
相澤
■全体を通しての感想とこれから
ストーリーがあるから店舗にも愛着も湧いてくる。
このお店はストーリーが詰まっているし、自分の中でも、思い入れがあり今までいろいろとデザイン・設計した店舗の中でもトップクラスです。一緒に群馬に行ったりと、色々なことがあったので。
相澤
藤井
LEAPさんの仕事に点をつけるとしたら、文句なく100点満点だと思いますが、そこで満足して欲しくないから99点にしておきます。(笑)でも、ほんとうに感謝しています。そして、これからもっと利益を出していって、将来的には2店舗目を考えているので、その時はまたぜひお願いしたいと思います。
藤井さんからは、先輩のお店なども紹介していただいたりしていますし、こちらもそのお店に別のオーナーさんを連れていったりして…オーナーさん同士でも色々な繋がりで広がっています。ぜひ2号店もお手伝いさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
相澤
《お店ガイド》
JR神田駅の東口を出て横断歩道を渡り、線路沿いに飲食店が並ぶ通りからひとつ目の路地を右へ、さらにひとつ目の角を左に曲がったところにある木の扉が目印。その扉を開けるとすぐのところテーブル席があり、その奥に、天井までのボトルに囲まれるようにして分厚い御神木のカウンターがどっしりと存在している。
ウイスキープロフェッショナルとシードルアンバサダーの肩書を持つオーナーマスターに、シードルやウイスキーについてあれこれ聞きながら楽しみたい方はぜひ、このカウンター席へ。群馬の食材にこだわったフードメニューも豊富なので、お酒とともにしっかりと食事も楽しめる。関西から出張で上京してくるビジネスマンが店舗を探して来店する事も少なくない。オーナーマスターの人柄と木のぬくもりに囲まれて、つい長居してしまう居心地の良い空間を、ぜひご堪能あれ。
店舗の内装計画は、飲食店、美容サロン・エステ、物販店、その他、業種によって異なるだけでなく、店舗の立地や諸条件、つくりあげたい雰囲気、呼びたいお客様の層などによって、店舗ごとに大きく異なります。一つひとつのケースに沿って、ご提案させていただきます。