飲食店開業の際に、よくご相談を受けるのが「いい物件があったけど大家さんが貸してくれなかった」というご相談です。ではなぜ大家さんや管理会社さんからNGが出てしまうのでしょうか?その理由をしっかりと理解し、借りても問題ないことを伝えて納得してもらえれば、契約できる可能性は上がります。諦める前に現状を知り提案をしてみましょう。
大家さんが飲食店を嫌う理由その1「物件価値の低下」
いきなり結論ですが、賃貸契約の際に飲食店が断られるケースで最も多い理由が「物件の価値が低下する」です。
中でも重飲食が該当しやすい
もっと具体的に表現すると、「重飲食」と呼ばれる業態がこのケースに当てはまることが多いです。重飲食とはガスコンロやフライヤーなどの専門の調理器具を用いて調理するため、大掛かりな排水・排煙設備が必要になる業態を指します。
これらの設備を利用する業態として挙げられるのが「居酒屋」「焼肉屋」「レストラン」「中華料理屋」「ラーメン屋」などです。グリストラップや大規模な給排気システムなどを利用することで、匂いが出たり、建物自体の修繕費が上がるためこれを嫌う大家さんが断ってしまうケースが多いです。
軽飲食ならチャンスがあるかもしれない
「飲食店NG」と大家さんに断られたケースの中には、実は「軽飲食はOK」という場合もあります。軽飲食とは、その名の通り重飲食の反対を指す言葉で、大規模な調理設備や排水・排煙設備を必要としない業態を指します。具体的には「カフェ」「バー」「スナック」などを指します。
しかし、繰り返しますがカフェでも揚げ物を提供したりすることで店舗周辺に煙や匂いを出すような業態は重飲食とみなされるケースもあります。
利用する設備で判断する
具体的に「重飲食」と「軽飲食」を分ける要素とはどのようなものなのか、以下にまとめました。
- 排水を洗浄するグリストラップなどの設備が必要
- 排煙を行う設備が必要
- 火や大量の油などを使用する
この3つのいずれかに該当するようであれば、不動産オーナー側からは重飲食としてみなされると考えていいでしょう。
大家さんが飲食店を嫌う理由その2「クレーム」
1階に飲食店が入っているようなテナント付き物件などによくあるケースですが、空中階の住民から大家さん・管理会社にクレームが入るケースがあります。それでは具体的にどのような問題がクレームに発展しやすいかご紹介します。
害虫・害獣の発生
テナント付き物件で特に多いのが、住民からの害虫・害獣によるクレームです。店舗の衛生状態にもよりますが、飲食店は毎日生ゴミが発生するうえに冷蔵庫などの冬でも温かい設備があることからどうしてもゴキブリやネズミが発生しやすい環境です。
そういった要因があることから、大家さん・管理会社が飲食店を嫌うケースが多々あります。
匂い
重飲食でも特にラーメン屋や焼肉屋などは匂いが発生してしまう業種であることから、「洗濯物が干せなくなった」などのクレームが近隣住民から発生することがあります。
排気ダクトを屋上まで通しているテナントビルの場合などはこの問題を回避できることもあります。
営業時間
例えば深夜まで営業を行う店舗の場合は、治安の悪化を懸念する声もあります。
店先にお客様がたまっていたり、騒ぎ声などが原因でクレームになるケースがあります。この場合は営業時間を調整することで契約を行えることもあります。
諦めずにまずは交渉してみることが大事
いい物件を見つけて管理会社に問い合わせたら「飲食店はダメ!」と言われてしまうようなケースでも、交渉次第では物件を借りることができるケースもあります。
排気ダクトの方角を調整したり、他拠点で仕込みを行い店舗では加熱して提供することのみに留めるセントラルキッチン方式を採用することにより、重飲食不可とされていた物件で開業することができた例もあります。諦めずに、まずは大家さんの嫌がる要因を排除する提案をしてみましょう。
最後に
今回は飲食店開業の際に、大家さん・管理会社さんが嫌がる理由をご紹介させていただきました。これらの理由を知ることで、大家さんが飲食店開業を嫌う要因を排除した上で交渉をすることができるかもしれません。
株式会社Leapでは、お客様の店舗開業支援を行っております。物件選定時も、お客様と同じ目線で大家さんと交渉を行ったりできますのでご相談などはお気軽にお申し付けください。