JR神田駅からほど近い場所にあるウイスキーとシードルが中心のオーセンティックBAR。ドアを開けると真っ先に目に飛び込んでくるのが天然木の美しいカウンターと、天井までびっしりと並ぶボトル類。ウイスキープロフェッショナルとシードルアンバサダーの肩書を持つオーナーが、自分の夢を実現するために造り上げた大人の空間です。オーナーとの対談コラムはこちらからです。

店舗の内装イメージについて、オーナーからの希望は「本格的なBARにしたいけれど、あまりシックになりすぎないように」というものでした。これは、あまりに重厚感だけを追求することによって、お客様が入りづらくなってしまわないようにという配慮からで、さらにもうひとつのこだわりとして、カウンターに特別な“木”を使いたいという強いご要望をいただきました。 その“木”とは、オーナーの地元（群馬県）で古くから大切にされてきた“御神木”のことで、倒れてしまった御神木をたまたまオーナーが譲り受けることになり、その貴重な財産をBAR空間のメインとなるカウンターにしたいということでした。この御神木カウンターを真ん中に挟んでお客様と接することで、故郷のように「人と人との温もりのあるつながりができれば」との想いがあったのです。 その想いを実現するため、まずはカウンター内のオーナーやスタッフの目線とお客様の目線が合うように、床のレベルを調整。さらに、カウンター席側に段差をつけたり、間接照明を使用することなどによって、お客様が特別な感覚を持ってカウンター席に着けられるような雰囲気づくりを演出しています。 また、御神木からの端材で２人席のテーブルも製作。端材といえども、しっかりとした厚みのあるテーブルと、それらが置かれた壁側には部分的に間接照明を入れることで、くつろぎを感じられるスペースとなっています。 元はスケルトンの物件ながら、間口が狭く縦長の空間であるという条件に加えて、すでにある設備も使いたいというご要望もあるなかで、存在感のあるカウンターを中心にどのようなレイアウトにするかが、設計の最大のポイントでした。 まず、入口から入ってすぐ左側にあるテーブル席の壁面には、鏡面仕上げのタイルを使用することによって空間をなるべく広く見せるように演出。存在感のある御神木のカウンターは、少し奥に配置することで、そこにもうひとつの別空間が存在するかのような雰囲気を創り出しました。このお店に来たからには、「まずそこに座りたい」と誰もが思うような、バーカウンターが誕生したのです。

店舗内装という点から見た場合、このお店の顔はなんといっても御神木のカウンターです。最初にそのお話を聞いてすぐに、オーナー様が譲り受けた御神木とはどのようなものか見てみたいと思い、オーナー様と地元にうかがいました。そして実物を見ながら、どのように使ったらよいのか、話し合いをしながら決めていきました。さらに、オーナー様のご友人のところを回って、造作で使用できそうな素材を探したりと、まさにオーナー様の思い出を詰め込んだ店づくりが進められて行きました。そうして完成したお店は、オーナー様の思い入れとこだわりの材料によって、ゆったりと過ごすことのできる、温かみのある空間になったと思います。

店舗の内装計画は、飲食店、美容サロン・エステ、物販店、その他、業種によって異なるだけでなく、店舗の立地や諸条件、つくりあげたい雰囲気、呼びたいお客様の層などによって、店舗ごとに大きく異なります。一つひとつのケースに沿って、ご提案させていただきます。